ジャクリーヌ・デュ・プレという薔薇

Blackmore's NightのGhost of a Roseがエルガーのチェロ協奏曲をベースに作られていたことを知り、いろいろと調べてみました。

ブラックモアはジャクリーヌ・デュ・プレを描いた映画に触発されて、この曲を書いたとのことでした。

彼女は若くして難病を患い、演奏者でいることを断念せざるを得なくなります。教育者としてチェロに携わるものの、病は悪化する一方。とうとう42歳にして亡くなってしまいます。

映画の原作となった「風のジャクリーヌ」という書籍によれば、彼女は「自然を愛し雨に濡れながら歩くのが大好きで、シンプルな中に幸福を見出す洗練されていないカントリーガールだった」ようです。

Ghost of a Roseの中でも、まるでニンフか妖精のような彼女の姿が歌われています。


"Promise me, when you see

A white rose you'll think of me"

繰り返されるサビの部分の歌詞です。白い薔薇という言葉が出てきます。

彼女が亡くなった翌年、彼女の名を冠した薔薇の花が作られました。八重桜を思わせるような、オープン・カップの白い薔薇です。

画像引用 : HARKNESS<Jacqueline du

Pré(Pot Grown)>



アンデルセンの童話に薔薇の花の精というお話があります。

原題では"ghost"ではなく、"elf"なので、ニュアンスが違うのかもしれませんが、こちらも悲劇的な物語です。

薔薇の花の精は花の中を家として生活しています。ある日、夕方になって花びらが閉じてしまい、家に帰れなくなったところ、愛し合う恋人たちが、ふたりの間を裂こうとする女性の兄のために、離ればなれにならなければならないという場面に遭遇します。

お互いに別れを惜しみながら、女性は男性に薔薇の花を捧げます。薔薇の花の精はその花に身を潜めました。

その夜、女性の兄が男性の元を訪れ、彼を殺してしまいます。

薔薇の花は兄についていき、女性に男性の死を伝えます。悲しみにくれる女性は、薔薇の花の精に教えられた場所から男性の遺体を掘り起こし、切り取られた頭部を植木鉢に埋めた後、ジャスミンの花を植えます。

ジャスミンの花がすくすくと育つ一方、女性は憔悴しきってしまい、とうとう亡くなってしまいます。

薔薇の花の精はジャスミンの花の精と女王蜂に敵討ちを訴え、薔薇の花の精が女王蜂のところに出向いている間に、ジャスミンの花が兄を殺します。

すべてが終わり、日が沈む中、女王蜂が高らかに薔薇の花の精のこと、悪いことをすれば、どんなに小さな花の影であったとしても仇討ちをする者が潜んでいることを歌い上げるところで物語は終わります。


"When all was done, she turned to run

Dancing to the setting sun as he watched her

And ever more he thought he saw

A glimpse of her upon the moors forever"

Ghost of a Roseの中に、このような歌詞があります。

"すべてが終わった後、彼女は走り去った

彼が見守る中、彼女は夕日に向かって踊る

彼は荒れ地に永遠に佇む彼女の姿を垣間見た気がした"

というような訳になりますが、もしかすると、アンデルセンの童話も意識しているのかなという気がしています。



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